眼科医のための英語論文の読み方

これであなたも読んだつもり(〃ノωノ)

「増殖性硝子体網膜症(PVR)においてペリオスチンは線維性膜の発生を促進する」

time 2016/03/04

「増殖性硝子体網膜症(PVR)においてペリオスチンは線維性膜の発生を促進する」

Periostin promotes the generation of fibrous membranes in proliferative vitreoretinopathy.

FASEB J. 2014

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24022401

増殖性硝子体網膜症(PVR)は線維性膜の形成によって牽引性網膜剥離を誘発する、視力をおびやかす重症疾患である。現在硝子体手術以外に有効な治療法は見つかっていない。この論文では、PVR治療における新たなターゲットとしてペリオスチンを挙げている。

  • PVR患者の線維性膜とそれ以外の患者の硝子体サンプルでDNA microarrayを施行したところ、PVR患者の線維性膜では83遺伝子が有意に上昇、95遺伝子が有意に低下していた。上昇を認めた83遺伝子のうち、以前検討されていたPVR患者と続発性網膜前膜の患者を比較したEST analysisにおいても上昇を認めていたのが、ペリオスチンだった。

 

  • qRT-PCRでPVR患者の線維性膜と正常患者の網膜を調べたところ、正常患者ではペリオスチンmRNAを検出することはできなかったが、PVR患者ではペリオスチンmRNAを認めた。

 

  • ペリオスチンのタンパク質レベルも検討したところ、PVRや増殖性糖尿病網膜症における硝子体中のペリオスチン濃度は、黄斑円孔や裂孔原生網膜剥離に比較して、著しく上昇していることが分かった。

 

  • PVRの線維膜の免疫染色を行ったところ、RPE cellsでは、RPE cellsのマーカーであるインテグリンαVと、ペリオスチンおよびmyofibroblastのマーカーであるα-SMAの発現を認めたが、グリア細胞では、グリア細胞のマーカーであるcytokeratinの発現のみを認め、ペリオスチンやインテグリンαVの発現はほとんど認めなかった。この結果から、PVR膜においてはほとんどすべてのmyofibroblastはRPE cellsから分化したもので、ペリオスチンやインテグリンαVはRPE cellsに優位に発現していることが分かった。

 

  • RPE cellsにTGFβ2刺激を加えると、ペリオスチンの産生や分泌が増加したが、ペリオスチン刺激を加えてもTGFβ2は増加しなかったことから、TGFβ2がペリオスチンの産生を増加させていることが分かった。また免疫染色でも、ペリオスチンはTGFβ2刺激後だけに、α-SMA陽性、インテグリンαV陽性の細胞に発現するのが見られた。

 

  • ペリオスチン刺激を加えると、FAKやAKTのリン酸化が増加した。インテグリンαVやFAKを阻害剤およびsiRNAで阻害すると、FAKやAKTのリン酸化が減少したことから、インテグリンαVおよびFAK経路でリン酸化が起きていることが分かった。したがって、ペリオスチンはRPE cellsにおいて、FAKやAKTのリン酸化を誘発していると考えられた。BrdU取り込みで見ると、ペリオスチン刺激によって増加することから、ペリオスチンがRPE cellsの増殖を促進していると考えられた。また、fibronectinにコートされたwellに60分で張り付いた細胞を染色して量を吸光度で測定した結果、ペリオスチン刺激があると細胞接着が増加し、インテグリンαVやFAKを阻害すると接着が減少した。また、ペリオスチンの濃度依存的に遊走が増加し、ペリオスチン阻害によって遊走が減少した。コラーゲン産生もペリオスチン刺激により増加し、インテグリンαVやFAKを阻害すると減少した。これらの結果より、ペリオスチンがインテグリンαVを介してFAKやAKTをリン酸化し、この結果、増殖、接着、遊走、コラーゲン産生が増加すると考えられた。

 

  • RPE cellsにおいてsiRNAやNabによってペリオスチンを阻害し、TGFβ2刺激を加えて検討したところ、TGFβ2によって誘発される遊走、接着、コラーゲン産生が抑制された。つまり、ペリオスチンはTGFβ2によって誘発される細胞遊走、接着における重要な役割を果たしていると考えられた。PVR患者から採取した硝子体刺激によって、(正常患者からの硝子体刺激と比較すると、)細胞遊走や接着が増加した。これらの結果から、ペリオスチンがPVR膜の発生や進行に重要な働きをしていると示唆された。

 

  • ウサギ眼に片眼にはコントロールIgGを硝子体注射し、もう片眼にはペリオスチンNabを投与し、PVR誘発を行うと、21日間でコントロール眼では、重症な線維性組織の形成とそれに伴って網膜剥離が見られたが、ペリオスチンNAb投与眼では、PVRの進行を有意に抑制した。ペリオスチン阻害によって、網膜細胞の生存に影響を与えることはなかった。

 

PVRが手術ではなく、硝子体注射によって治療できるのはすごいことですね。でもその場合、定期的に注射し続けないといけないことになるのでしょうか・・・。どうでしょうか・・・o(・_・= ・_・)o

 

 

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