眼科医のための英語論文の読み方

これであなたも読んだつもり(〃ノωノ)

Leber先天黒内障に対する遺伝子治療薬voretigene neparvovec(商品名ラクスターナ)をFDAが承認(1)

time 2018/01/05

Leber先天黒内障に対する遺伝子治療薬voretigene neparvovec(商品名ラクスターナ)をFDAが承認(1)

どっかで聞いたことがあったような気がしていましたが、2017年12月に、Leber先天黒内障のうち、RPE65が原因遺伝子であるものに対する遺伝子治療薬ラクスターナ(一般名voretigene neparvovec)が米FDAに承認されたとのことです。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-05/P20P5M6KLVR401

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FDAホームページ

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上記ホームページによると、

一般名 voretigene neparvovec-rzyl
商品名 LUXTURNA
製造  Spark Therapeutics, Inc.

LUXTURNAは、AAV(adeno-associated virus:アデノ随伴ウイルス)ベクターを利用した遺伝子治療薬。
対象は、両アレルのRPE65遺伝子のmutationによる網膜ジストロフィー(LCA, Leber’s congenital amaurosis))患者。

初めてFDAに承認されたin vivo 遺伝子治療とのことです。

価格は両眼で1億円とのこと。

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LUXTURNAの写真:緑キャップが薬剤で、白キャップのバイアルが溶解液
出典:Spark Therapeutics, Inc.

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1.Leber先天黒内障(Leber’s congenital amaurosis)とは?

黒内障amaurosisとは、Wikipediaによると、「眼球自体には特に器質的な異常が認められないのにもかかわらず、重度の視力障害が発生したり、失明状態に陥ったりする状態の総称」とのことです。

そのうち、遺伝子検査でRPE65遺伝子にmutationが見つかったものを、LCA2と呼ぶそうです。

多くは子供の頃から、視力低下、眼振(nystagmus)、視野欠損をきたし、ERGはnonrecordable(a波も観測されない)。

ちなみに、同じRPE65遺伝子異常でも、網膜色素変性となることもあるとのことです。(OMIM

遺伝形式はAR。

 

2.具体的な治療方法は?

FDAのページによりますと、以下のようになっているそうです。

要約すると、

(1)対象患者は、3歳以上

(2)注射7日前からPSL 1mg/kg/day(体重30kgであれば、30mg/day)内服を行い、術後はtaper。

(3)0.3 ml のLUXTURNAを、網膜下注射する。(年齢から考えて、おそらく全身麻酔)

(4)両眼に注射するが、片眼の注射から、もう片眼の注射まで1週間以上はあける。

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出典:FDA

3.費用は?

価格は片方の目につき42万5000ドル(約4800万円)、両目で85万ドル(約9600万円)!!!

対象患者はUSAに1000人程度とのことです。

4.エビデンスは?

2008年頃から臨床試験が繰り返し行われており、Russell et al., Lancet 2017では、Summeryをおおざっぱに訳すと、以下のように、なっています。

臨床試験のプロトコルの詳細は、こちら(ClinicalTrials.gov)から見ることができます。

METHODS:

USAの2施設で、open-label, randomised, controlled phase 3 trial。
最高矯正視力が20/60(小数視力約0.3)以下 and/or
中心視野が20度以下で、RPE65遺伝子にmutataionが認められた3歳以上の患者。
十分な生きている網膜が残存しており、
standardised multi-luminance mobility testing(MLMT)を施行可能な患者。

治験参加者はランダムに2:1に分けられた。
プライマリーエンドポイントは、注射1年後のMLMT結果とした。

Findings:

参加者31人のうち、21人が投与群、10人がcontrol群となった。
注射1年後のMLMTの、lowest luminance levelのテストを、
投与群20人中13人(65%)がpassしたが、
非投与群10人中、だれもpassしなかった(0%)(p=0.0013)。
網膜下注射原因と思われる大きな副作用は認めれなかった。

Interpretation:

RPE-65遺伝子異常の家族性網膜ジストロフィ―(Leber先天黒内障)の遺伝子治療により、視機能が改善した。

 

5.RPE65遺伝子の役割は?

長くなってきたので、次回以降に調べて記載したいと思います。

 

(参考文献)

Lancet. 2017 Aug 26;390(10097):849-860. doi: 10.1016/S0140-6736(17)31868-8. Epub 2017 Jul 14.
Efficacy and safety of voretigene neparvovec (AAV2-hRPE65v2) in patients with RPE65-mediated inherited retinal dystrophy: a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28712537

アメリカ初の「先天性疾患に対する遺伝子治療薬」が承認へ。視力の大幅な改善が実証される
2017.10.17 12:00
https://www.gizmodo.jp/2017/10/fda-landmark-approval.html

遺伝性網膜疾患の遺伝子療法、米国でまもなく認可へ
by Emily Mullin 2017.10.24
(全文購読は有料)
https://www.technologyreview.jp/s/58759/fda-vote-sets-stage-for-gene-therapys-future/

Wednesday, December 20, 2017 11:10 AM
直接投与の遺伝子治療薬 FDAが初承認
http://usfrontlinenews.com/?p=28086

遺伝子療法の価格はどこまで下げられるのか?
Emily Mullin
2017年11月01日 18時10分更新
http://ascii.jp/elem/000/001/577/1577117/

Voretigene neparvovec (Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Voretigene_neparvovec

Leber’s congenital amaurosis (Wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Leber%27s_congenital_amaurosis

レーベル(Leber)先天黒内障
http://www.japo-web.jp/info_ippan_page.php?id=page19

レーバー先天性黒内障 原因遺伝子リスト
http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?ds_ja:H00837

アデノ随伴ウイルス (Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%87%E3%83%8E%E9%9A%8F%E4%BC%B4%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子導入
http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007828&utm_source=Japanese%20Biochemical%20Society&utm_medium=banner&utm_campaign=AAVpro

OMIM
# 204100
LEBER CONGENITAL AMAUROSIS 2; LCA2
https://omim.org/entry/204100

2018年、夢の遺伝子療法 CRISPRがやってくる
Emily Mullin
2017年12月21日 05時57分更新
http://ascii.jp/elem/000/001/606/1606910/

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