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眼科専門医試験解答例2018(その6)

time 2019/03/10

眼科専門医試験解答例2018(その6)

51. d, e
a× p442. 小口病は先天停止性夜盲の一つ。現任遺伝子はSAG,GRK1が知られており、遺伝形式はAR。眼底検査で、金箔の剥げかかったような特有の反射がみられる。この反射は長時間(5~10時間)の暗順応によって消失する(水尾-中村現象)。FA,視野共に正常。
通常のフラッシュERGでは、減弱したa波とさらに小さなb波がみられ、negative b波(陰性型)となる。
錐体系ERGは正常である。
b×? occult macular dytrophy(三宅病)は、遺伝性の黄斑ジストロフィで、遺伝形式AD、原因遺伝子はRP1L1。眼底写真、FA、全視野ERGは正常だが、多局所ERGでは黄斑部の機能が著しく低下している。
比較的めずらしい疾患であるが、進行速度が緩やかな原因不明の両眼性視力低下をみたときは、必ず念頭におくべき疾患である。
OCTで中心網膜厚の低下や、IS/OS lineが黄斑中心部で不明瞭。
有効な治療法は無いが、高齢になっても少なくともどちらかの眼は0.1以上の視力を維持できる例が多い。
c× 卵黄状黄斑ジストロフィではEOGは異常をきたす。全視野網膜電位図(electroretinogram; ERG)は,正常である.
http://grj.umin.jp/grj/bvd.htm
d〇 p443. 先天停在性夜盲congenital stationary night blindness(CSNB)は、眼底が正常でありながらERGが陰性型(b波の振幅が、a波の振幅より小さい)を示す疾患である。完全型(杆体機能が完全に消失)と不全型(杆体機能が残存)に分類される。
5~10歳で視力低下を主訴に眼科を受診することが多い。完全型では夜盲。矯正視力は0.1~0.7程度。
遺伝形式はARまたはXR。治療法はない。
e〇 ビタミンA欠乏で夜盲がおこる。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25626405
p1017 多局所ERG(multifocal ERG)
商品名VERIS。
視力低下や市や欠損の原因が不明な場合、網膜性であるのか、視神経や中枢性の疾患であるのかを鑑別するのに役立つ。検査時間は4分から8分であるが、30秒ごとに短い休憩を入れるのが普通である。

52. e
a
b
c
d
e〇
p423 CAR 癌関連網膜症
腫瘍特異抗原の異所性発現により獲得された自己免疫機序により中枢神経系障害を呈するものを悪性腫瘍随伴症候群paraneoplastic syndromeと呼ぶ。
この中で、網膜症を呈するものを癌関連網膜症cancer-associated retinopahty(CAR)であり、腫瘍組織に網膜特異抗原であるリカバリン(視細胞に発現している)と、それに対する血清自己抗体により、網膜視細胞が障害される。原発巣として肺小細胞癌が最も多く、消化器系癌、婦人科系癌などあらゆる癌に随伴する。
高齢者に、網膜色素変性症に類似した症状、すなわち、亜急性に進行する両眼性の視力視野障害および光過敏症を認める。
ERGが平坦化。血清中の抗リカバリン抗体が証明されれば確定診断だが、複数回、採血検査が必要になることもある。CARが疑われた場合は、全身検索が必須。
なお、皮膚悪性黒色腫にCARと同様の機序で生ずる網膜症を、MAR(悪性黒色腫関連網膜症)

53. e

b△
c△

e〇

54. b, d
a× 脈絡膜骨腫Choroidal Osteomaは良性腫瘍。
b〇 p358. 眼内悪性リンパ腫は、悪性リンパ腫が眼内で発生し、網膜下(Bruch膜と網膜色素上皮の間)がその主座となる。非Hodgkinリンパ腫でB細胞性である。Diffule Large B cell Lymphoma(DLBCL)が多い。
(1)中枢神経系リンパ腫を合併する型
(2)全身性悪性リンパ腫に合併する型
の2種類ある。中枢神経系リンパ腫合併型では、眼症状が先行し、診断に苦慮することがある。両眼性が多く、前房蓄膿、硝子体混濁、網膜の黄白色滲出斑、乳頭浮腫などをきたし、初期にはぶどう膜炎との鑑別が困難である。
c× p352. 脈絡膜血管腫には、
(1)限局性脈絡膜血管腫
(2)Sturge-Weber症候群にみられるびまん性脈絡膜血管腫
の2つがある。(1)限局性脈絡膜血管腫は、検眼鏡的にはやや黄色味がかかったオレンジ色の色調が特徴的だが、やや赤みが強いこともある。血管腫は表面が平滑で軽度隆起しているが、悪性黒色腫のようにキノコ状になることは無い。3-9 mmの大きさのことが多く、続発性網膜剥離をしばしば伴う。『脈絡膜骨腫』や『無色素性脈絡膜悪性黒色腫』との鑑別が困難なことがある。
蛍光眼底造影検査(FA)では、蛍光色素静脈注射直後の前動脈期あるいは動脈早期に太い脈絡膜血管が過蛍光として現れる。血管腫が小さい場合は、IAが有効である。血管腫は表面が平滑で軽度隆起しているが、悪性黒色腫のようにキノコ状になることは無い。3-9 mmの大きさのことが多く、続発性網膜剥離をしばしば伴う。『脈絡膜骨腫』や『無色素性脈絡膜悪性黒色腫』との鑑別が困難なことがある。
治療は無症候性の場合は経過観察。網膜剥離により視力低下する場合には、光凝固療法が第1選択。
d〇 p496. 網膜芽細胞腫retinoblastomaは網膜に発生する悪性腫瘍で、原因遺伝子はRB1(癌抑制遺伝子)。片眼性、非遺伝性が多い。遺伝性のものは遺伝形式ADであり、二次癌としては、骨肉腫、松果体腫瘍、扁平上皮癌などが放射線の照射野やそれ以外の部位に発生する。初発症状としては約7割が『白色瞳孔』で、斜視、充血が続く。
e× p503. 網膜色素上皮と網膜の混合過誤腫は、先天性か反応性のグリア組織といわれている。若年男性に多く、視神経近傍に好発するやや隆起した、灰色の網膜から網膜下の扁平病巣である。非進行性であるが、グリア組織による牽引性網膜剥離をが合併することがあり、視力低下があれば硝子体手術となる。神経線維腫症でみられることがある。
p359. 仮面症候群
仮面症候群masquerade syndromeとは、ぶどう膜様症状を示すが、実は他の疾患であるものをいい、悪性リンパ腫、白血病、転移性ぶどう膜腫瘍、若年黄色肉芽腫、網膜芽細胞腫などがある。
http://www.medic.mie-u.ac.jp/ca-center/home/about/chiryou/cure/c120.html
眼科領域の腫瘍
脈絡膜骨腫Choroidal Osteoma
脈絡膜に原発する骨腫です。眼底検査では不規則に隆起した黄白色の腫瘍を認めます。びまん性でまだら状の色素脱色と多数の小血管を認めます。有効な治療法はありません。
https://eyewiki.aao.org/Choroidal_Osteoma

55. d
a× 現在、悪性腫瘍を治療中の患者は抗TNF阻害薬は禁忌。
b× 活動性結核は抗TNF阻害薬は禁忌。
c× 多発性硬化症は脱髄性疾患である。
d△ 鉄欠乏性貧血。NYHA III度以上のうっ血性心不全を有していなければ投与可能か。
e× NYHA III度以上のうっ血性心不全を有する場合は抗TNF阻害薬は禁忌。
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/tfn_manual.jsp
非感染性ぶどう膜炎に対するTNF阻害薬使用指針および安全対策マニュアル(2016年版)
【投与禁忌】
以下の状態では TNF 阻害薬の投与は禁忌とされる。
① 活動性結核を含む重篤な感染症を有している.重篤な感染症を保有する患者においては,その原因によらず感染症の治療を優先し,感染症の治癒を確認後に TNF 阻害薬の投与を行う.
② NYHA(New York Heart Association)分類(表 1)Ⅲ度以上のうっ血性心不全を有する(Ⅱ度以下は慎重な経過観察を行う).
③ 現在,悪性腫瘍を治療中の患者.
④ 脱髄疾患(多発性硬化症など)およびその既往歴のある患者。TNF 阻害薬では既存の脱髄疾患の症状が再燃,または悪化するおそれがあることが知られている.

56. c
a〇
b〇 原田病患者の眼局所にはメラノサイト関連抗原のtyrosinaseに特異的に反応して炎症性サイトカインを産生するCD4+ Tリンパ球が存在する。
http://www.nichigan.or.jp/research/tokubetu/t_090302.html
c× 急性期に脈絡膜が肥厚する。
d〇 CNVを生ずることがある
e〇 http://www.nichigan.or.jp/news/m_231.jsp
遷延例・再燃例に対する治療として、ステロイドパルス療法の再施行、もしくはシクロスポリン(商品名ネオーラル)による治療を試みる。
p307 Vogt-小柳-原田病(原田病) VKH disease, VKH syndrome
原田病は、メラノサイトに対する自己免疫性疾患と考えられている。
90%以上の症例にHLA-DR4がみられる。
原田病の臨床所見(4期)
(1)前駆期prodoromal stage
発熱、咽頭痛などの感冒様症状、頭痛、項部硬直nuchal stiffnessなどの髄膜刺激症状。頭髪異常感、毛髪の脱落。
(2)急性ぶどう膜炎期acute uveitic stage
急性両眼性ぶどう膜炎で、霧視、羞明、変視、飛蚊症などの視力障害。しばしば遠視化。両眼ほぼ同時に発症するが、30%の症例では左右で1週間程度ずれることがある。
典型例は肉芽腫性ぶどう膜炎として、角膜にmutton fat KP(豚脂様角膜後面沈着物)がみられ、虹彩にはKoeppe結節、Busacca結節がみられる。また、毛様体浮腫による浅前房をきたして眼圧上昇を伴う場合は、『急性緑内障発作』との鑑別が必要となる。
眼底は、多発性の滲出性網膜剥離、視神経乳頭の発赤腫脹がみられる。
(3)回復期convalescent or chronic stage
Dalen-Fuchs斑(網膜周辺部にみられる黄白色の境界明瞭な萎縮病巣)、夕焼け状眼底、乳頭周囲の輪状脱色素。
(4)再燃期recurrent stage
20%の症例で前部ぶどう膜炎が遷延、再燃。併発白内障、続発緑内障などが進行。
●原田病の鑑別診断
後部強膜炎
急性後部多発性斑状色素上皮症(APMPPE)
uveal effusion
などとの鑑別を要するが、FA所見や髄液細胞増多などの眼外症状の有無が診断上有用である。
●原田病の治療
ステロイド点眼、散瞳薬。
新鮮例では、発症早期のステロイドパルス療法。
診断基準(2001年、国際ワークショップ)
●完全型VKH(complete VKH)
次の1から5をすべて満たすもの
(1)先行する眼外傷がない
(2)他の眼疾患がない
(3)両眼性。病初期あるいは後期の訴権としていずれかの所見があること
病初期1:びまん性の脈絡膜炎
病初期2:局所あるいは胞状の網膜剥離 focal or bullous retinal detachment
病初期3:脈絡膜の充盈遅延、多数の点状漏出、大きな円形の過蛍光、乳頭の過蛍光(FA)
病初期4:びまん性の脈絡膜肥厚が超音波で証明される

病後期1:上記の症状が存在したことを疑わせる所見
病後期2:眼に脱色素現象がある。夕焼け状眼底あるいは杉浦サイン
病後期3:上記以外の眼症状、脈絡膜のコイン型の脱色素斑を示す瘢痕、網膜色素上皮の集簇あるいは遊走
(4)神経学的所見/聴覚所見
(5)皮膚所見
●不完全型VKH(incomplete VKH)
上記(1)(2)(3)を満たし、かつ、(4)あるいは(5)を満たすもの
●原田病疑い(probable VKH)
上記完全型VKHの眼所見が両眼にみられ、その他の全身あるいは眼病、過去の眼外傷のないもの

57. e
a
b
c
d
e
p311. サルコイドーシス
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/sarcoidosis.jsp
サルコイドーシスの診断基準と診断の手引き―2006
http://jssog.com/www/top/kenkai20118.html
サルコイドーシス診療の手引き 2018
http://jssog.com/www/top/2018/2-2-2.pdf
「サルコイドーシスの診断基準 2015」
(2015 年 1 月の難病法施行にともなって改定された。サルコイドーシス診断基準2006と異なるので注意。)
表 1.特徴的検査所見
① 両側肺門縦隔リンパ節腫脹
② 血清アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性高値または血清リゾチーム値高値
③ 血清可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)高値
④ Gallium-67 citrate シンチグラム(
67Ga シンチグラム)またはfluorine-18 fluorodeoxygluose PET(18F-FDG/PET)における著明な集積所見
⑤ 気管支肺胞洗浄検査でリンパ球比率上昇,CD4/CD8 比が 3.5 を越えて上昇

58. c, d
a
b△
c〇
d〇
e
p338. HTLV-1関連ぶどう膜炎(HTLV-1 associated uveitis, HAU)
成人T細胞白血病ウイルスである、human T-cell lymphotropic virus type 1(HTLV-1)のキャリアにみられ、九州・沖縄に多い。血清抗HTLV-1抗体陽性であるが、除外診断が必要。
鑑別診断として、サルコイドーシス、中間部ぶどう膜炎。片眼性と両眼性がある。
前部ぶどう膜炎、硝子体混濁、網膜血管炎(主に静脈炎)がみられ、再発しやすい。約20%にBasedow病(甲状腺機能亢進症)の既往がある。
治療はステロイド点眼、散瞳薬点眼、ステロイド内服。

59. e
a
b
c
d× IL-10が上昇する。http://iol.umin.jp/about.html
e〇

60. b
a
b
c
d
e
p391. 未熟児網膜症retinopathy of prematurity, ROP
網膜血管は胎生4か月頃から視神経乳頭から網膜上に伸び始め、鼻側は胎生約8か月、耳側は胎生9か月に網膜鋸状縁に達する。これより胎在週数が短い場合には出生時の網膜血管の先端と鋸状縁の間に無血管帯が存在する。様々な要因により網膜血管の伸展が起こらないと、網膜血管は無血管帯との境界部で異常なシャント形成、新生血管、線維性増殖などの変化を起こす場合があり、これを未熟児網膜症と呼ぶ。
在胎週数36週未満、出生体重1800g以下で出生した児に対し、
(1)在胎週数26週未満の症例は、修正在胎週数29週までに
(2)在胎週数26週以上の症例は、生後3週までに
診察を行う。検査の前処置として、カプト(ミドリンP+サイプレジン+ネオシネジン)点眼を行うと、より良い散瞳効果が得られる。

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